2022年10月21日 2022年10月21日西野清子

園芸療法とガーデンセラピーの違いは？

よく園芸療法とガーデンセラピーの違いはなんですか？と聞かれることがあります。

園芸療法とガーデンセラピーは一連の園芸作業を通じ、植物の癒しの力で心と体を元気にするということは共通しています。
ですが、目的と対象者さんが違うというところで区別されています。

園芸療法は主に「リハビリ」が目的です。

園芸療法が行われる場所は、主に高齢者施設、病院、精神科、児童施設、障害者施設などで、対象者は身体の不自由な方、高齢者、認知症の方、精神疾患のある方、児童など、何かしらの疾患のある方です。

私は１５年ほど前に高齢者施設に園芸療法士として勤務し、毎日、園芸療法を行なっていました。（上記写真は私とデイサービスの利用者さんです）
対象者は高齢者の方々で、認知症の症状がある方がほとんどでした。

デイサービスではアクティビティのひとつとして、植物を育てたり、収穫した植物を調理やクラフトの作品作りにしたり、植物を育てるところから活用するところまでの一連の動作で五感を刺激し、心身の機能の改善を図ろうという目的がありました。

このデイサービスに通われていた、ある認知症の利用者さんは、園芸療法の時間だけ、認知症になる前のシャキシャキした話し方に戻ったり、言葉数が増えたり、奇跡のような体験もたくさん見られました。この報告を受けたご家族さんも、以前のお母さんに戻ったと、涙を流して喜ばれていました。

このように認知症の高齢者さんを対象にする場合など、園芸療法士には介護の知識も必要です。昔の「ヘルパー２級」、今でいう「介護職員初任者研修」が必須になります。
そして今後、園芸療法士をお仕事にしたい方は、日本園芸療法学会の定めているカリキュラムが履修できる大学や短大、専門学校に通われることをお勧めします。

植物の基礎知識はもちろん、農園実習、施設実習、心理学やコミュニケーション法、介護の知識などもしっかり学びます。
時間も４０５時間の授業と８００時間の園芸療法実習がありました。

人と植物を繋ぐ専門家としてかなりの訓練を受けます。

そしてガーデンセラピーは？というと、対象者は広く一般の方で、日常でストレスを感じている人や、植物を生活の中に取り入れ、癒しを得たい方などに行う植物を用いたセラピーです。

ガーデンセラピーは個人が自宅で手軽に始めることができます。
この植物を使って、こうしなければいけないという決まりも縛りもないので自由にお好きな植物を育て楽しめます。
植物を育て、収穫、活用し、植物の癒しの力を取り入れ、心と体の健康を維持することが目的です。

でもまだガーデンセラピーは具体的な方法などはまだ確立されておらず、園芸療法ほどはまだ普及していません。

ガーデンセラピストとしてのお仕事や勤め先もまだありません。コロナ禍で、ガーデンセラピー協会の講座を受ける人はかなり増えたそうですが、お仕事というところまではまだ道筋がないのが現状況です。

お仕事としては園芸療法の方が世の中にニーズがあり、実際行われています。
でも植物を使ったセラピーは何らかの疾患を持った方へのものだけではありません。
一般の方が楽しむためのものであってももちろん構いません。

逆に、子どもさんや若い世代の方に植物の良さをお伝えしていくことが、この世知辛い世の中を少しでも優しい世の中に変えていくということで必要なのではないかと思います。

私一人の力ではどうすることもできません。
ですので、私のようなガーデンセラピストを全国各地に増やし、植物の癒しを人々に一緒に伝えていっていただけたらという想いでスクールをさせていただいています。

hanatripはガーデンセラピーの具体的な行い方や植物プログラムなども仕事への道筋として確立していきます。
決して机上の空論ではなく、実際の私の園芸療法士としての現場経験や、２８年の花仕事経験を存分にお伝えし、現場で動けるガーデンセラピストを養成していきたいと思っております。そして笑顔あふれる社会に貢献したいと思います。

園芸療法とガーデンセラピー、植物の癒しの力をお届けしたいという気持ちは同じです！

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