参加者のアセスメント作成後、具体的な園芸療法プログラムの立て方

前回、参加者さんのアセスメントを取るところまで書きました。今日は園芸療法プログラム作成の手順を改めて最初から順に書きたいと思います。

こちらはレイズドベッドの土を作っているところです。皆さん張り切りすぎでストップをかけているところです(笑)

①園芸療法導入の目的を明らかにする

参加者に対してどんな目的でプログラムを行うのか?
・治療、リハビリテーション
・職業訓練
・教育
・レクリエーション
などの目的があります。参加者によっては「職業訓練とレクリエーション」など、重複した目的行う場合もあります。

②参加者のアセスメントを行う

以下の内容を調査し、各参加者のプロフィールとなるような資料を作成します。
・生年月日、性別
・病気や障害の状況
・職歴、学歴等
・興味や知識
・性格的なこと
・コミュニケーション能力等
・留意点
など、状況に応じて、参加者、家族、参加者にかかわる医療、福祉、あるいは教育関係者、組織や団体の管理者にインタビューしておいてもよいでしょう。より詳しいアセスメントになります。これはプログラム実践前のアセスメントなので、実際にプログラムの進行してから、その方の状況を見てその都度修正が必要になります。
項目についても、各組織、施設、団体の目的によって変わります。

③園芸療法プログラムを展開しようとする環境、場の調査

参加者さんのプログラムを決めるよりもっと大切な事が、参加者さんの安全を確保するという事です。そして安全確保にもつながる、以下のようなことに気を配らないといけません。

・場所の広さ、地形、方角
・場所までのアクセス
・日照条件、温度、湿度
・水源、電源の有無
・道具、材料の保管場所
など、障害物やハサミや重い道具などについても、参加者さんに事故がないように事前に対応策を考えておきましょう。

④予算の検討

予算については各組織、施設、団体によって全く違います。予算はどうしようもないところがあるので、予算に合った規模、プログラムのボリュームを考えていくしかありません。それを含め、以下のような予算の検討が必要です。

●立ち上げ時の予算・・・施設、設備の整備にかけられる予算
            資材、道具、土、植物等の購入にかけられる予算
            施設、設備の設計にかけられる予算
            プログラム作成にかけられる予算

●プログラムが始まってからの年間予算

         ・・・材料等の購入にかけられる予算
            人件費

などです。私の勤めていた施設では、わりと予算は出してくださっていました。予算が少ないと、植物は種まきから育てたり、クラフト材料を100均で揃えたり、少し工夫と努力が必要です。でもそのプロセスも参加者さんと楽しむと乗り越えられます。

⑤人的資源の検討

園芸療法プログラムを実践する上で、必要な人材が以下のような方です。

・指導体制・・・プログラムの運営、指導にかかわる人
・植物や庭の維持管理・・・プログラムの範囲内で、設備、道具、植物の管理をする人

などです。私のような外部の園芸療法士や専門家に支援してもらったり、ボランティアに頼んで庭の管理をしてもらうとか、内部のスタッフでまかなうのか、というところもしっかり決めましょう。人材が乏しくなると、園芸療法は立ち消えてしまいます。

⑥園芸療法プログラムの作成

②で作成したアセスメントを元に園芸療法プログラムを個々に作っていきます。もちろんアセスメントをベースに作るのですが、前項までの予算、指導体制、環境から受ける制約もあるので、その辺も考慮しながら作成します。

・アセスメントを参考にして、それぞれの参加者ごとに長期目標と短期目標を立てる。
・目標に応じた作業や植物を検討する。
・目標に沿った作業を積み上げて行って、活動単位、週単位、月単位、年単位というようにプログラムを立てていく。

⑦1年間のプログラム運営にかかる大まかな予算を立てる

①〜⑥を決めると、プログラムに必要な設備、資材、材料、植物などをリストアップして、立ち上げ時と、1年間の園芸療法プログラム運営にかかる大まかな予算を立てましょう。

と、こんな感じでスタートラインに立ちますが、これから実践するにあたっての実行手順などもブログでお伝えしていきたいと思います。

ではまた明日(^^)

投稿者プロフィール

西野 清子