施設の方からよく空いた庭を園芸療法ができる庭にしたいという相談を受けます。お庭の活用法としてはとても有効ですし、利用者さんやご家族さん、職員さんにも素晴らしいサービスです。もっと園芸療法ガーデンのある施設が増えることを願います。
でも施設で園芸療法ガーデンを作る際は、各家庭の庭を作るのとは少し違うことを認識していただきたいと思います。

まずは「視覚」を意識したガーデンにすること

第一番に見て楽しんでいただきたいのは高齢者さんなので、高齢の方が視覚から刺激を受けるような植栽にした方がいいです。ご高齢になると加齢とともに「色覚」が変化してくることも多いです。色覚とは色を正確に判断する感覚のことです。
つまり、ものの色の見え方が違ってくるということです。視力低下や老眼とはまた違った「色の見え方」の変化です。

私が施設で園芸療法を実践していたときは、利用者さんの中で、白内障の手術をされた方や、緑内障と診断された方もたくさんいらっしゃいました。ご本人は「色がおかしい」など、その都度言われませんが、ものの色が違う色に見えていた方も多かったのではないでしょうか。きっと花の色なども少し違って見えていたかと思います。綺麗なものを見ても違う色に見えてしまったり、濁った色に見えると、せっかくの五感を震わすガーデンも効果が半減してしまい、とても残念です。
ではどんなことに気を使ってガーデンを作ればよいのでしょうか。

今日は高齢者の色覚についてご説明したいと思います。まずものを正確に見るには、視力、視野、色覚の3つの機能がそろっている必要があります。

色覚について

人の目はカメラの仕組みとよく似ていて、カメラのレンズの役割をする「水晶体」を通って目の中に入った光が網膜に届きます。網膜はカメラで言えばフィルムに焼き付ける役割があり、網膜にある「視細胞」とよばれる細胞で見えているものを形や色で判断しています。
さらにものの色を見分けているのは視細胞の中にある「錐体」とよばれる細胞です。その錐体の中でも色を感じる3種類の錐体があります。

・赤を感じ取る→L錐体
・緑を感じ取る→M錐体
・青を感じ取る→S錐体

このいずれかの機能が十分でない場合、色の見え方に異常をきたすことになります。

加齢による後天的な色覚異常

遺伝による先天的な色覚異常の方もごく少数いらっしゃいますが(男性20人に1人、女性500人に1人)高齢による後天的な色覚異常はこの数に含まれないのでたくさんいらっしゃると思います。その色覚異常の代表的な要因が白内障によるものだそうです。

白内障とは
↓↓

https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/cataract/museum/about_cataract/

参天製薬HPより引用


上記リンク内の白内障の方の症状です

画像は参天製薬さんよりお借りしました

この6つの見え方の症状を考慮した園芸療法ガーデンにすることが重要ですが、今回は「目がかすむ」というところに注目したいと思います。白内障が進行してくると常にサングラスをかけているような状態になるそうです。ということは従来の色が違った色に見えてしまうということです。

利用者さんがどんな色に見えているかということを知る

先ほども述べたように、白内障の方はいつもサングラスをかけているような見え方になり、ずっと色がかすんで見えているということです。茶色がかって見えるのでしょうか。

画像は健康長寿ネットさんからお借りしました

また緑内障の方に関しては上記でご説明した、「錐体」の中の「S錐体」の機能が大きく低下するので青や黄色を見ると色が違うように見える(青黄色覚異常)ことが多いようです。

青黄色覚異常とは
↓↓

https://kotobank.jp/word/%E9%9D%92%E9%BB%84%E8%89%B2%E8%A6%9A%E7%95%B0%E5%B8%B8-1553050#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E7%99%BE%E7%A7%91%E5%85%A8%E6%9B%B8(%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%8B%E3%82%AB,%E9%BB%84%E8%89%B2%E8%A6%9A%E7%95%B0%E5%B8%B8%E3%80%8D%E3%81%AE%E8%A7%A3%E8%AA%AC&text=%E8%B5%A4%E3%81%A8%E7%B7%91%E3%81%AF%E6%84%9F%E3%81%98%E3%82%8B,%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93%E5%84%AA%E6%80%A7%E9%81%BA%E4%BC%9D%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

コトバンクより引用


緑内障の方は青黄色覚異常で青および黄を感じない、認識しないということがあります。
緑内障の方はこのように見えるようです。

黄色 → 灰色
青緑〜紫 → 緑または青緑

というふうに特に黄色、青、紫あたりのお花を花壇に植える場合は注意が必要です。以前私が行う園芸療法中に、紫のクレマチスを見て、「この花、枯れてるから取ろうか?」と言ってくださった方がいました。やはり紫の花が枯れたような緑に見えていたのだと思います。それ以降はなるべく明るい色のお花を植えるようにしました。もちろん青、紫、黄色のお花を植えていけないことはないのですが、この色たちを多用しすぎると、利用者さんからすると、彩りの少ない楽しくないお庭になるかもしれません。せっかくの園芸療法ガーデンが効果半減になってしまいます。

園芸療法ガーデンは「For you」の気持ちで作りましょう

特に園芸療法ガーデンを計画中は、素敵なお花がいっぱい咲くガーデンにしたいと、イメージもたくさん湧きてきます。デザイン重視で考えがちにもなるのですが、ここは今一度、何のために園芸療法ガーデンを作るのか、そのお庭のコンセプト、対象者、年間園芸療法プログラム、施設内の園芸療法チーム作りなど、まずは誰に園芸療法を楽しんでいただきたいのかを考えて、利用者さん、ご家族さん、お客さまに楽しんでいただけ、職員、スタッフに負担の少ないローメンテナンスなガーデンにする取り組みをしていきましょう。せっかくガーデンを作るのですから、長く活動できるよう、最初にしっかり計画を立てましょう。

屋上園芸療法ガーデンでのビオラの花柄詰みです。
気分もいいし、適度な運動で五感も刺激です(^^)
ピンクの人は私です(笑)

施設で園芸療法を立ち上げたい方、専門知識がなく年間の園芸活動のアイディアがない方など、はまずはお気軽にご相談ください。小さいお庭でもやり方はあります(^^)

オンライン無料相談(1回45分)も随時受け付けております。

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