昨日、当スクールのハーブガーデン「コトホグガーデン」で作業していると、80代後半くらいの男性の方、自転車を停め、フラッとガーデンに入って来られました。
何やら私が黙々と何の作業しているのが気になられたようで、ガーデンの中に何も言わず、勝手に入って来られました。
そして難しい顔をされながら、植えているハーブをひとつひとつ見て回られています。
私は、お会いしたことがないし、この土地の地主さんかと思い、こちらからご挨拶しましたが、お返事を返してくださいません。以前難し顔をされています。何かこんなもん植えて!と怒られるのかと思い、ちょっとビクビクしてしまいました。
でも何か喋らなければと、笑顔で話しかけると、二言三言、何か話をされたんですが、全く意味がわからい内容でした。
で、ピーンときました。この方認知症だなと。
私は園芸療法士として高齢者施設に勤めていましたし、その前もデイサービスセンターで介護のお仕事の経験もあったので、表情やお話の特徴からすぐにそうだとわかりました。
認知症の方は身体はお元気な方も多いので、ご家族とご自宅で生活しておられる方もいらっしゃいます。どうやら話の内容から、コトホグガーデンのすぐ近くにお住まいの方のようでした。
少しお話をするのですが、まだちょっと険しいお顔をされていたり、一方的にお話をされ、なかなか噛み合いません。
その話の内容は、「農薬をかけすぎると、その後も何年も残留成分が残り、植物が育ちにくいから、ダメやぞ。」「うちもそれで苦労したから、気をつけろ。」「それと、野菜の株はかなり離して植えろ。でないと大きく育たんぞ。」
という内容がほとんどで、これを10回くらい長いストーリーで聞かされました。
もう認知症のなにものでもないと確信しました。
もうすぐ暗くなるし、早く帰られた方がいいと思い、6回目くらいで話を切ったんですが、またすぐ振り出しの農薬に戻り、あと4回くらい聞かされました(笑)
でも、勤めていたときもそうだったのですが、私は認知症の方のお話は延々と聞いていられるんです。全くイライラもしないし、コミュニケーションを取るのが楽しいです。
認知症の方は、1回1回、初めて話すと思って一生懸命話されます。なので毎回初めて聞いフリをして、「そうなんですね!」とか、「えー!すごいですね!」とか、自尊心をくすぐるような返しをして差し上げると、また得意げにノリノリで同じ話を何度もされます。
私がのらせてしまうのですが(笑)
こちらが「すごいですね!」って聞いて差し上げると、ちょっと得意げになったり、笑顔が出てきたり、私に心を開いてくれたりという瞬間がわかります。
そして11回目くらいに私が最後の必殺技で、「それすごいですね!また今度来られた時に教えてくださいねー!」って、締めくくり、気持ちよく自転車で帰っていただけました(笑)
「またくるわな!」と言って帰っていかれました。
内心、「いや、もーいいねんけどな」と思いましたが(笑)
だって、30分近く時間を取られますから。私も忙しいっちゅーねん(笑)
久々にこの必殺技を使うことができて、園芸療法の仕事を懐かしく思い、またやりたいなぁなんて思いました。
介護も大好きなお仕事でした。
それに植物の仕事が加わった園芸療法のお仕事は本当にやりがいしかなかったです。
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